日本初の低血糖症に関する本
二十世紀の疫病 低血糖症―心身を蝕む恐るべき食原病
高尾 利数著
低血糖症=血糖調節異常はこれ自体、今は少しずつ認知されている物の、医師も知らないくらいの病気だ。
何度も書いているのでおわかりだろう。
この本は、1984年発刊なのでもう24年前の本だ。
現在でも低血糖症に関する本は数えるほどなので、発刊当時いかにマイナーな本だったかが想像できる。
しかし著者の高尾利数氏は24年以上前から、砂糖の取り過ぎ、精製された炭水化物(糖質)を取り過ぎると、体の調子が悪くなるのはもとより、精神面での不調が恐ろしい、と訴えていらっしゃる。
すでにアメリカやヨーロッパなど諸外国では、事故(交通事故含む)や事件の原因の一つにもこの低血糖症が深く影響していることをデーターや文献などで紹介している。
高尾氏はこの低血糖症を医療関係者だけではなく、お母さん達、教育関係の方々に是非読んで欲しい、と訴えていらっしゃるだけあって、非常に分かりやすく平易に書かれている。
低血糖症の発見と原因も多方面において詳しく説明がある。また砂糖の歴史によって、どのような経路で世界中に砂糖が広まったかなど興味深い事も書かれている。
また驚いたのは、低血糖症があるとアレルギー症状も悪化するなど、相互関係があるのは知っていたが、ぜんそくが起こるメカニズムやリュウマチや関節炎にも関わりがあり、けして例外ではないこと、それらのメカニズムも説明がある。また痛風とも関係があると言うので驚いてしまった。
低血糖症は『偉大なる物真似師』との別名がついているとおり、ありとあらゆる症状と関係があると言うことを改めて知った次第。
低血糖症が根底にあると、例え病名が判明して治療していても治らないのはここにある。一般の医師が知らないのだから、誤診とは言わないにしても、正しい治療と言えるかどうか?
低血糖症の事を理解して治療をするのとしないのとでは、患者本人の負担も違ってくるのは当たり前だし、生活の質も違ってきてしまうのだから、もう一度考えて見るべきだと思う。
取り寄せに少し時間がかかるが、この本は、値段も手頃なので是非読んで頂きたいと思う。もう一冊はこの本より2年前に書かれた『砂糖は体も心も狂わせる』も大変興味深いので、興味のある方は合わせてどうぞ。