脳と栄養のシンポジウム-江部康二先生編6-10脳のエネルギー源は?

掲載については溝口クリニックよりご許可を頂いています。

~一部・または全部における引用・無断転載をお断りします~

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脳はブドウ糖しか利用できないか?

以前テレビで「砂糖は脳のエネルギー」というCMをやっていたとこのブログで何度か書いたけれど、本当に脳には砂糖は必要ないのか? と思っている方もいらっしゃるでしょう。(こういういい加減な事をエライ先生方が言っているのは、怒りさえ感じます。)

脳が使えるエネルギーは「ブドウ糖だけ」と言うのは定説だから。

間違っていけないのは、だから砂糖を摂らないとだめだ、と言うことではない。

また、ブドウ糖そのものを口から摂ることでもない。これは血糖値の面からも危険なのでやっている人はすぐに止めるべきです。

江部先生が勧めていらっしゃる糖質制限食では「脳に大切なブドウ糖が摂れないじゃないかー」と疑問に思う方もいらっしゃるかも。

炭水化物は(糖質)摂取した100%すべてがブドウ糖に変わります。

しかも比較的早く糖質からブドウ糖に変わるので、すぐにエネルギーとして体にも脳にも使われるには都合がいいのは確か。

意外に知られていそうで知られていないのは、タンパク質も脂質も糖質に変わり、ブドウ糖になるということ。

ブドウ糖に変わる割合はぐっと少なかったり時間がかかったりするけれど、タンパク質で50%脂肪で10%が変わる。

ブドウ糖に変わる時間もかかるけれど、実はブドウ糖として長い時間利用できるのも事実で、糖質が早い物で15分位。大体約1時間半から2時間弱で血糖に変化し、タンパク質は約2時間から数時間で変化。脂肪は数時間から10数時間かかる。

私の知り合いで「ご飯やパンなどを食べないなんて(ブドウ糖が摂れないから)死んじゃう」と言った人がいたけれど、このようにタンパク質も脂肪(脂質)も時間はかかるけれどちゃんと体にも脳にも利用できる血糖に変わってくれる。

しかも「脳はブドウ糖しか利用できない」と言うのは間違いで「ケトン体」というものを利用しているのだという。

脳のブドウ糖が枯渇しても「ケトン体はなんぼでも利用できる」と江部先生は何度も力説していらした。

ケトン体に関してネットで調べても有害であるとか、糖尿病患者のことばかり出て来て有用な情報はなかなか得られなかった。いまいち理解していない私だけれど、江部先生が示して下さった資料を引用します。

生理的ケトン体上昇
・心筋、骨格筋、腎臓などで種々の器官で日常的にエネルギー源としてケトン体を利用。
・断食や糖質制限食で「脂肪酸ーケトン体」エネルギーシステムが活発化した時ケトン体は生理的に上昇する。
妊婦にも安全
・インスリン作用は血糖値は正常。
・糖尿患者では、正常或いは軽度高値。

「脳と栄養のシンポジウム」抄録から一部引用

江部先生は次のようにも話して下さった。
「人間は飢餓状態、何日も食べられないときでも理論上は1ヵ月とか2ヵ月近くまで生き延びる事が出来るのは、このケトン体を利用しているから。脳がブドウ糖しか利用出来なければ、すぐに死んでしまうことになる。脳もケトン体をなんぼでも利用できる」

糖質制限食はメタボや生活習慣病にも有効

さらに江部先生は、
「国はメタボや生活習慣病を減らそうと色々試みているけれど、効果はあまり上がっていない。私が勧める糖質制限食は代謝も血流もすべてによい効果があるので予防と治療に最適」

「こんな事言ったら製薬会社などから恨まれてしまうかも知れない」とジョークを飛ばしていらした。

糖質を制限することは人間本来の人体システムの理にかなっているので、無理なく減量も、血糖値のコントロールもできるのです。

一般的に指導される糖尿病食は糖質の割合が実に60%を占める。一方江部先生が勧める糖質制限食は、タンパク質と脂質が多く、これが血糖値を上げにくい。

この食事は血糖調節異常(低血糖症)の人にも大いに役に立つ食べ方なので実行して欲しいです。

最後に糖質制限食の事を書いた江部先生の本をご紹介します。

主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ
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Kindle版
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糖尿病のための「糖質オフ」ごちそうごはん
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