先祖が何を食べてきたかを考える2/2-私がマクロビを勧めない訳7-9 穀類を食べ始めたのは1万年前からという事実

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穀類を食べ始めたのは1万年前からという事実

昨日書いた事と重複するけれど、ヒトは穀類を育て食べ始めることで、定住し人口も爆発的に増えていった。
生命の危険を冒して狩りをして命を繋ぐという不安定な食糧確保から、農耕をする事である程度安定する食生活になっていった。

火を使い始めたことで、食材の食べ方、保存も変わった。何より生で食べていたときに比べると、肉や魚に含まれるビタミンやミネラルも植物性のものからの摂取が必須になっていった。

狩猟の時代は獲物が手に入らなければ、餓死することもあったはず。けれど安定的に手に入る農耕で得た食物は、獲物が手に入らなくても生命を繋ぐことができた。

農耕が始まるまでの300万年前までずっと肉食を続けてきた人類。

この長い年月を考えたとき、穀類を本格的に食べ始めてたかだか1万年位で人間の体はそうそう変わるものではないといいます。

農耕を始めた1万年前からかなり長い間(詳しい資料を探し切れていないので具体的には分からないが)未精製の穀類を食べてきたのです。

もともと人類は肉食であるから、穀類などの糖質を処理するような体の仕組みになっていないのだけれど、ヒトは柔軟性と適応性をも持っている優れたものだから、何とか代謝してエネルギーに換えることができた。

けれど日本で言えば元禄時代以降、穀類は精製された穀類を食べるようになった。(一般的になってきた時期)補足・一般的と書いたが、庶民の口にはなかなか入らなかった。090820PM1730

元禄時代と言えば江戸時代の中期、1688年-1703年の間でたかだか今から300年前。(私が歴史を勉強したのは遙か彼方・・・すっかり頭から消えていたので調べてみて書いた次第・・・)

ご存じの通り食生活は、戦後64年の間、つい最近とまさに急激に変化してきた。

『先祖が何を食べてきたかに合わせて食べる』なら・・・

今や人類史上あり得なかったほど人工的な食生活になってしまったといってもいいでしょう。

昨日も人類は何を食べてきたかを書いたけれど、マクロビにおける『私達のご先祖がかつてどのようなものを食べていたのかに合わせて食べると・・・』という、先祖の食事はいつ頃の何を指しているのか?

【玄米を食べ、野菜や海草、豆類、小魚を少量、肉・卵・牛乳は殆ど食べない・・・】

『先祖が何を食べてきたか』を考えるのに、日本の歴史と食生活を詳しく紐解かなければならないので以下、ちょっと脱線するけれど、極簡単に書きます。

日本に置いては、仏教の教えが入ってくるまではごく自然に獣の肉や魚も古代の人類同様食べていた。(言わずもがな、それ以外の特に西欧地域などはずっと肉食中心の食生活。)

当時(奈良時代頃から)の政府に肉食禁止令が度々出されても、庶民を含め密かに食べていた。鳥類は食べるのを禁止されていなかったとかでウサギを「1羽、2羽」と鳥に数え食べていたというのは有名な話。

そんな日本で、肉をおおっぴらに一般も食べ出したのは明治以降と言われいます。

おおっぴらに食べた、といっても肉は高価だったから精製された穀類と同様、食べられる人は限られていたのです。

これらを考えるとマクロビがいっている「先祖が何を食べてきたか」という対象の時期は、ある意味非常に狭い時期と言わざるをえません。

特に日本の場合は仏教などの宗教の影響で肉食を禁じていた以前は繰り返しになるけれどごく普通に、かなりの量の肉食をしていたと思われているのです。

もちろん肉だけではなく、小魚を中心とした魚介類はもっと食べていた。

今、特に現代に体調を崩したり、精神疾患があったり、難病になる、ガンになるなどなどは、『日本人に合っていない食事をしたから』という簡単な理由ではなく、生活の乱れ、食生活の乱れ、栄養欠損、ストレスの増大などの影響の方がずっとずっと重大。

人類の歴史上食べてきた物を考えれば考える程、現代の食事はタンパク質不足(特に動物性タンパク質)と過剰なまでの砂糖やその他の糖質を含む炭水化物(糖質)の摂りすぎによる、代謝などの異常、野菜などの栄養分の極端な減少によって必要なビタミン・ミネラルが摂れないことなどの方が大きいです。

300万年もの間、タンパク質中心に食べてきた人類は、現代の食事の様な炭水化物が多すぎる食事に体が対応していないのだ。処理しきれない位の炭水化物(糖質)を食べているといってもいい。

しかもタンパク質は糖の代謝を始めあらゆる代謝にも無縁ではないから、タンパク質が少ない食事は私達が考えている以上に問題が出てくるのです。

これらの事についてここまで私が書くには化学的な裏付けがあっての事。

エラソーに書いて誤解されるといけないけれど、これらは私だけがいっているのではなく、生化学という学問を通して人間の体の仕組みや働きを熟知した専門家やその医師等が方法の1つとして60項目の血液検査の結果分析した上でのことだから。

これらの事を総合的に考えても、マクロビの勧めている『先祖が何を食べてきたかに合わせて食べる』という内容には、大いに疑問が残るのです。