脚気の予防レベルでしかない、厚労省の栄養所要量
国民の健康を維持する目的で厚労省が栄養をどれだけ摂ったらいいかの目安を定めています。
つまり健康な人が必要な栄養はどのくらいかを示しているのです。
つまり病気の人はどのくらい摂ればいいのかではない、ということ。
しかも何度か書いているように、病気にならない最低限のレベルしか定められていないのです。
なので厚労省が示している「1日の栄養所要量」は表示以下だと『病気になりますよ』という量なのです。
健康維持とか病気を改善する量ではないので書いている通りに摂っていては不十分、ということ・・
厚労省が定めているそれぞれの栄養所要量を守っていても病気の人は健康になれないし、少しでも下回ったら病気になってしまうレベルでしかないということ。(栄養療法におけるドーズレスポンスではないということ)
ドーズレスポンスというのは、摂取する栄養素が一定レベルを超えないと効果が出てこない量、という意味。人によってその適切な量は異なる。
ビタミンCに限っていえば実に厚労省の定めている100倍以上を投与し始めて始めて効果が出てくる人もいるという事。
(現在の厚労省が定めているビタミンC一日の所要量は100mg)
脚気の予防にビタミンB1は1mgで足りる
江戸煩いというのをご存じの方も多いことでしょう。
江戸時代に参勤交代で武士が江戸に滞在中、奇妙な原因不明の病に冒され、死ぬ者も出ていた、というもの。
けれどお勤めを終え、故郷に帰るとその奇妙な病気はぴたりと治ってしまった・・・篤姫の夫、徳川家定も江戸煩いで急死しています。
江戸煩い、これは今でいう『脚気』のことで、江戸ではその頃、限られた裕福な階層では白米を食べ出していていたことが関係しています。
白米にしたことでビタミンB1不足で脚気になった、という訳。
脚気という病気は死に至る病でもあることから、のちに脚気を予防するための研究や対策をし、ビタミンB1をどれだけ摂ったらいいかを国民に知らせて来たといいます。
これがいつから言われ出したのかなどは私は調べていないのではっきりしたことはいえませんが、かなり昔だったことだけは確かです。
その脚気予防だけのために定められたビタミンB1の所要量を今現在もずっと厚労省は発表していて、必要な所要量はたったの1mg。
ビタミンB1のみならずビタミンB群は色々な代謝にも必要だし、色々な病態にも不足が関わっていることが分かってきているので特に脚気以外の病気の人が治療の為に必要とする量は当然1mgでは足りないのです。
血糖調節異常(低血糖症)の人はビタミンB群が特に足りない事があり処方される人も多いと思うのですが、ビタミンB1レベルで一日に150mg以上処方されている人も結構いらっしゃる。
実に厚労省が定めている栄養所要量の150倍。
薬と同じような治療効果が出る量は個人差もあってこの位違います。
この大量ともいえるビタミンB1を摂ることが病気の治療レベルで、『ドーズレスポンス』といわれるものなのです。